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女サカ・イベントレポート

吉備路で見た乙女の涙 ~彼女がサッカーから得たものは?

日時:2008年6月1日
第17回 全日本高等学校女子サッカー選手権大会岡山県予選会

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 今回の予選会で印象的だったのは、他の2校の対照的なスタイルである。
芳泉高校には、(失礼は承知であるが)「上手い!」と思わせるようなこれといった見せ場はなく、1対1での強さやフィジカルなど、まだまだ課題は多い。しかし、選手一人一人は、大きな得点差にもめげずに最後までボールを追う姿など、本当に好きでボールを追っている様子が感じられた。また、電車、バスを乗り継いでまで会場に駆け付けた在校生(卒業生か?)の声援もあり、また、その応援に来ていた生徒たちがゲームの合間に裸足でボールを蹴っていた様子などからも(会場になった公園の管理スタッフに「芝生でボールを蹴るな」と注意されてしまっていたが…)、上手くなりたい、と選手が思う以前のステップ、つまり、そもそも試合に出られボールを蹴ることができることだけでも面白い、というステップなのかもしれない。ただ、その選手達を盛り上げようと、在校生が会場に足を運んでくれるというチームカラーは、過渡期の女子サッカーでは重要な存在だろう。また、完敗(総得点でもゼロ)の3位という結果であっても、駈けつけてくれたサポーターに笑顔で挨拶していた光景は好印象であった。芳泉高校の3年生にとっては、今回が引退試合になってしまった言うことであるが、彼女たちの「サッカーが好き」という想いが後輩に引き継がれ、「蹴ることだけが面白い」から、「上手くなりたい」という気持に切り替えることができるかどうか、という点が課題である。しかし、フィジカルと戦術理解(もっと簡単なプレーを繰り返しながらチームとしての意思統一が必要か?)のレベル向上により、それほどの長いスパンを考えずとも、潜在能力の高いチームになることは期待できそうである。3校の力が拮抗するレベルにまで進化できれば、岡山県大会の面白さは劇的に進化するはずであり、芳泉高校の今後の活躍に注目したい。

 対して、総社高校であるが、第1試合(vs 芳泉高校)を見た限りでは、ボールを散らし続けることができ、振り向きざまでもボールを前に出せる選手がいる、フリーキックにも絶妙に合わせることができるチーム力があり、「上手い!」と思わず声をあげてしまったドリブル、クロス、サイドチェンジが随所に見られた(前半だけでも5-0という結果からも明らかであろう)。第2試合(vs作陽高校)では、さすがに疲労が残っていたはずであるが、1点でもゴールを決めようと、後半の最後まで、あきらめずに走る姿にひたむきさが感じられた。さらに、第2試合の終了後に涙する数名の選手に視線が引き付けられずには居られなかった。第3試合の結果を待たずとも、地域予選会への出場は決定的であることは彼女達にも分かっていたと思うのであるが、さて、この涙の真相は? 同じ高校生相手にこれだけ点差がつけられてしまった事、自分達のサッカーをやり通せなかった悔しさ、など、様々な要因を考えることは可能であるが、その涙の真相は本人にしか分からない。いや、本人にも今の時点ではその理由は分からないのかもしれない。しかし、この涙は彼女達がサッカーを通じて得た“何か”が涙という表現で現れたものであることは間違いないであろう。いずれにせよ、この彼女たちの涙を見れば、女子サッカーをさらにmajorなものに変えていくことに意義があることは明らかである。さらに言えば、女子サッカーを通じた地域との関わりなど、”地域文化”を向上させるためには何が必要なのだろうか?という課題を改めて考えさせられることに繋がった「吉備路で見た乙女の涙」となった。

 なお、県大会後、6月21日~22日に中国地域予選会が開催され、岡山県勢からは作陽高校が準優勝で全日本高校女子サッカー選手権大会の初出場を決めた。本大会の組み合わせも既に決まり日本サッカー協会のホームページ(http://www.jfa.or.jp/women/domestic/news/080630_09.html)にて確認できる。是非とも、各地方予選を勝ち抜いて本大会出場を勝ち取った32校の蹴球乙女達の拳闘に声援を送って頂きたい。

text/photo:Akihiro Kikuchi, Ph.D.

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