
J-COM「REDS! GET GOAL!」のキャスターを長く続けている河合貴子さん。
選手から「貴姉(たかねえ)」と親しまれる彼女と女子サッカーの関係、
そして提言を聞いてみた。
--河合さんとレッズとの出会いは?
テレビでのレポーターを中心に活動をしているときに事務所から「浦和のケーブルテレビで浦和にJリーグのチームができるからサッカー番組を始めたい」という話があったんです。そのころ私はキー局の番組しかやったっていなかったのですが、事務所の意向もあって、一応、オーディションを受けたんです。でも、やりたくなかったので一時間遅刻していったんですよ。遅刻は一番落ちる方法ですから。質疑応答でサッカー知っていますか?って聞かれて、いえ、知りませんって答えて。でも、その場で通っちゃったんです。「サッカー知らなくていいです。知らない人と同じ目線でやってください」って。
--そこからサッカーとの深い付き合いが始まったのですね。
番組が始まってから、サッカーを勉強するのにルールを覚えるのが一番早いだろうって自分なりに考えて、審判の資格を取ればいいんだって思ったんです。伝える責任としてルールをしっかり知らなければって思ったんです。それで審判資格4級を取って、笛を吹かせてもらって・・・。審判をやってみて判ることがたくさんあった。
そうしているうちに、レッズの選手が「ボールを蹴ると、もっとサッカー楽しいよ」って言ってくれて、30歳を過ぎて初めてサッカースパイクを履いたんです。いきなり、じん帯損傷のサッカーデビューでした。
ある監督は同じ状況で選手に「開け」という、別監督は別の指示をする。これいったいどういうことなんだろうって思って、今度は指導者について興味が広がったんです。それで、D級コーチのライセンスを取りました。取ったら取ったで、今度はC級コーチのライセンスを取りたいって気持ちが出てきて・・・マスコミも伝えるって意味で勉強しなければならないと思って勉強させてほしいと考えたんです、40歳過ぎて。頑張って取りました。
--そこで、どうやってなでしこリーグと遭遇したのですか?
レッズとかかわっているうちに浦和レイナスと出会って衝撃を受けたんです。自分でプレーしてみると女子だけでフルコートってたいへんだから。しかもLリーグを優勝した。それが、次の年に浦和レッズレディースになる。レッズの男子と重ならない試合は見に行くようになりました。できるだけのことをしようと思って見に行っています。でもJリーグの試合と日程が重なるときって腹が立ちますね。

--これからの女子サッカーに必要なことって何でしょう?
中学に入ったときに女の子たちがサッカーをプレーするチームを失うことがとっても多いんですよ。女子のサッカーが続けられる環境づくりができたらいいなって。そのためには、なでしこが頑張らないと、そういう環境はできないなって思うんです。「レッズレディースに入るんだ!」って目標を与えてあげるってことが重要だと思う。でもそれがレッズだけじゃダメなんですよ。地域にいろんなチームがあって、プレーしたい女の子を受け入れられるようになっていかないとダメなんですよ。すっごい上手い女の子と一緒にプレーしたことがあるんですよ。中学3年生なんだけど大人のチームと一緒にプレーしてるんですよ。「同じくらいの年の友達とはプレーしないの?」って聞いたんですね。そうしたら、「みんなサッカーは怪我するから嫌だって言うんだ。ボールが顔に当ると痛いから」。でもバレーボールだって何だってボールが顔に当たると痛いよね。「もっとサッカーってこういう楽しさがあるんだよ。痛いだけじゃなくってこういう楽しさがあるんだよって友達に話せたら良いね」って。あとは周囲の理解ですね。それでも浦和の街はサッカーどころですから、女子のリーグがあったりとかするんです。でも、もっともっと理解してもらいたい、サッカーの素晴らしさを。
フットサル場やサッカー場で、子どもたちのサッカーをおかあさんたちが応援しているのか野次っているのかわからない光景をよく見るんです。じゃぁ、お母さんたちも、自分でボールを蹴ってみてくださいって。今までボールを蹴ったことがないお母さんと子どもと一緒に楽しむサッカー教室を開けないかなって。私は30歳を過ぎてボールを蹴り始めたんですよ。40歳を過ぎて指導者のライセンスを獲りに行ったんですよ。おばちゃんでもやれるんだよって環境があるとイイと思う。そして、じゃあ女子のトップレベルがどういうサッカーなのかっていうのを、なでしこが示して、それをみんなに見に来てほしいんですよ。見る楽しさ、理解する楽しさ、っていうのを感じてほしいんですね。そういう環境づくりが女子サッカーには必要なのかって思いますね。フットサルの仲間で60歳を過ぎている女性がいるんですよ。「どうしてフットサルを始めたの?」って聞いたら、「孫がサッカーを大好きで、孫と一緒にサッカーをやりたいと思った。だからフットサル教室に通った」って。それから彼女は女子チームを作ったんです。今度は、レッズレディースはどんなプレーをするんだろうって関心を持って、レッズレディースを応援するようになって。次は60歳を過ぎたおばあちゃんのチームを作ろうとしている。すごいでしょう。
さっきのお母さんのサッカー教室ですけど、教える人がいないなら、私が教えますよ、C級ですけれど。
プロフィール
92年よりJ:COMさいたまで「REDS GET GOAL」のキャスターを務め、浦和レッズを中心に活動する傍ら、文化放送で98年よりフランスW杯をはじめ天皇杯の決勝等ベンチレポーターを務めるフリーアナウンサー。指導者資格(財)日本サッカー協会公認C級ライセンス取得。
